いけすかない委員長ができるまで

昔のこと思い出しシリーズです。

いけすかない学級委員長というのがいる。私である。
みなさまも学生時代を振り返ってみれば、なんかコイツいけすかないな、という学級委員長がひとりやふたりはいたことと思われます。
教師からの評価はそこそこ良いが、学友からの信頼はイマイチなので、生徒会には入れず学級委員長どまりの奴。私である。
要領が悪いくせに、盛り上げ上手でもないくせに、身の程も知らず学級委員長に立候補してクラスをなんか微妙な雰囲気にしている奴。私である。

今回は特別に、如何にしていけすかない学級委員長が生まれるのか、というのを説明しますので、興味のある方は読んでみてください。

まず、新学期が始まる5日前くらいに、担任教師から家に電話がかかってきます。そして「次の学級委員長、やってもらえない?」と言われるのです。いやです、と弱々しく断るが押し切られます。
以上です。

いやいや、学級委員長って立候補したり推薦したりして、生徒主体で決めるものでしょ、と思った方、ピュアです。
学校の先生というのは、クラスを円滑に運営するため、裏で表でいろいろと手を尽くしているものなのです。多分。
ちなみに私は中学・高校でそれぞれ一度ずつこの学級委員長おたのみテレフォンを受け取っているので、おそらくまれによくあることなのだと思います。

中学二年生のときの話である。
間もなく終わりを迎える春休みを惜しんで精いっぱい惰眠を貪る私の元へ、一本の電話が入った。次の担任になるという先生からだった。
先生は、「次の学級委員長、立候補してくれないか?」と私に言う。
私は別に委員長という名の雑用をすることはやぶさかではなかったが、立候補はしたくない、と答えました。自分から立候補した場合と、クラスメイトに推されてしぶしぶ着任した場合とでは、後者の方が周りからの協力を得やすいことを知っていたからです。ていうか、自分から学級委員長に立候補なんてしたくないし!!丸尾くんじゃないんだから。
他に立候補する子がいない場合に、先生からの推薦という形をとってくれるならやります、と言うと、先生は「わかった」と言って電話を切りました。

迎えた新学期当日。恒例の委員決めをする最初のホームルーム。黒板にずらりと各委員会の名前を書き、先生は言いました。
「自分のなりたい委員に名前を書いてください」
あれ?
話違くない?
周りの級友たちは一斉に駆け出し、ラクそうな委員会から名前が埋まっていく。当然学級委員長の欄は空いたままである。
慌てて先生の方を見ると、先生はこくりと頷きました。なんの頷き?
大人になって振り返れば、向こうが先に約束を反故にしたのだから、こちらも無視して別の委員に名前を書いてしまえば良かったのです。でもできませんでした。かわいそうな私は教師は常に正しく、尊敬すべき存在であると信じ込んでいたからです。
私は震える手で自分の名前を書きました。もちろん学級委員長の欄に。「えっ」という声が上がったと思います。みんなの目がこっちを見ている気がしました。あのときの視線が背中に突き刺さる感覚はいまでも覚えています。

おそらく、学級委員長おたのみテレフォンの出現要件は、そのクラスに何らかの学級崩壊の因子があることだと思われます。学級崩壊を防ぐため、教師は先回りして従順な駒を配置しておくのだと思います。
私はけっこうがんばりました。先生も当然がんばったと思います。
それでも、三ヶ月後そのクラスは学級崩壊しました。

上記のような事情があるかも知れませんので、これを読んだみなさまは学級委員長がいけすかなくとも優しくしてあげてください!!!!!!

おわり。